外科とは

当院では、比較的軽度とされるケガの処置や、皮膚のできものなど日帰りで行える手術に対応する診療科として、外科を設けております。具体的には、擦り傷・切り傷・刺し傷といった創傷の処置や縫合、軽度から中等度までのやけどの治療、打撲や捻挫、肉離れなどの鈍的外傷の診療を行っております。また、粉瘤(ふんりゅう)など皮下にできたしこりの摘出手術や、巻き爪・陥入爪に関するご相談にも対応しています。
創傷に関しては、症状が軽く見えても放置を続けることで、傷跡が残りやすくなるだけでなく、蜂窩織炎(ほうかしきえん)や破傷風といった合併症を引き起こすリスクもあります。そのため、早めに適切な手当と治療を受けることが大切です。当院では、創傷の治療において湿潤療法(モイストケア)を採用しており、自然治癒力を活かしながら、できるだけきれいな治り方を目指しています。

湿潤療法とは

かつての創傷治療では、傷口を乾燥させてかさぶたを作り、それが剥がれることで治癒とみなされていました。しかし現在では、この方法は見直され、**傷を乾かさず湿った状態を保つことで、体が本来持つ治癒力を引き出す「湿潤療法」**が主流となっています。この療法は創傷だけでなく、やけどや褥瘡(床ずれ)などにも広く用いられています。
湿潤療法では、まず傷口を流水できれいに洗い流します。洗浄後は傷口を乾燥させず、専用の被覆材で覆います。やがて、傷の表面からにじみ出る浸出液が、傷の修復を助ける成分を含んでいるため、この浸出液を傷口にとどめることで、治癒が促進されます。傷が密閉された環境にあることで治りが早くなるほか、炎症や組織の損傷が少ないため、傷跡が残りにくいという利点があります。また、乾燥による神経刺激が抑えられることで、痛みも出にくくなるとされています。
当院では、創傷の状態を丁寧に確認したうえで、湿潤療法を含む最適な治療法を、患者様お一人おひとりに合わせてご提案いたします。

外科で対応する主な症状

創傷・火傷

創傷は、転倒や刃物などによって皮膚や皮下組織が損傷した状態で、擦り傷・切り傷・刺し傷などがあります。火傷(やけど)は、熱湯・火・薬品・摩擦などによって皮膚が損傷を受けた状態で、軽度なものから重度なものまで幅があります。
いずれも軽く見えがちですが、放置すると感染や傷跡、重症化につながる可能性があります。

治療について

当院では、傷を乾かさずに湿った環境を保つ「湿潤療法」を中心に行っています。これにより、治癒が早まり、痛みや傷跡も最小限に抑えられます。傷の状態に応じて、適切な処置をご提案します。

粉瘤(ふんりゅう)

皮下に袋状の構造物ができ、内部に皮脂や垢などの老廃物がたまった良性の腫瘍です。皮膚と同じ色で半球状に盛り上がり、顔・首・背中などにできやすく、多くは自覚症状がありません。
ただし、細菌感染などで炎症を起こすと「炎症性粉瘤」となり、赤み・腫れ・痛みが生じます。

治療について

炎症がある場合は、切開して膿を排出し、必要に応じて抗菌薬を使います。根本的な治療には手術が必要で、「全切除」では袋ごと切除し、「くり抜き法」では小さな穴から内容物と袋をできるだけ取り除きます。くり抜き法は傷が小さい一方、再発の可能性があります。

捻挫や打撲

捻挫は、関節に無理な力が加わって靭帯や関節周囲の組織が損傷した状態を指します。足首や手首などに多く見られ、痛みや腫れ、可動域の制限がみられることがあります。
打撲は、転倒や衝突などにより、皮膚の下の筋肉や血管が傷ついた状態で、腫れや内出血、鈍い痛みを伴うことがあります。
いずれも軽症に思えても、放置すると回復が遅れたり、関節が不安定になることがあります。

治療について

まずは安静・冷却・圧迫・挙上(RICE処置)を基本とし、必要に応じて消炎鎮痛剤の使用や固定を行います。腫れや痛みが強い場合は、骨折などが隠れている可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。

巻き爪・陥入爪とは

巻き爪は、爪の両端が内側に巻き込んだ状態で、特に足の親指に多く見られます。この巻き爪が皮膚に食い込み、痛みや炎症を引き起こした状態が「陥入爪」です。原因としては、足の形(開帳足・外反母趾)や爪の病気(爪白癬)、合わない靴の圧迫、スポーツによる刺激などが挙げられます。

治療について

炎症や腫れ、肉芽がある場合には、ステロイドの外用薬や抗菌薬の内服を行います。巻き爪そのものの治療には、保険診療と自由診療があり、保険適用の「フェノール法」では、食い込んだ爪の一部を取り除き、爪が再発しにくいように処置します。自由診療では、ワイヤーを用いて爪を少しずつ矯正する方法などがあります。